解説とまとめ
第1回 階名と音名
2018年(平成30年)3月7日
音取りや階名読みに役に立つところをまとめてみました。
練習の時にも時々出てきます。時間がある時に覚えておきましょう。

曲の調の違いや前後の音の流れによって読み方が違いますが
同じ音を指します。これを異名同音と言います。
異名同音
ドのシャープ(#)・C#・Cis・diの音とレのフラット(♭)D♭・Des・ruの音は同じ音
レのシャープ・D#・Dis・riの音とミのフラット・E♭・Es・muの音は同じ音
ファのシャープ・F#・Fis・Fiの音とソのフラット・G♭・Ges・suの音は同じ音
ソのシャープ・G#・Gis・siの音とラのフラット・A♭・As・luの音は同じ音
ラのシャープ・A#・Ais・liの音とシのフラット・B♭・B・tuの音は同じ音
第2回 音程
2018年(平成30年)3月28日
曲の進行や和声を練習するときに役立つものです。
練習の時にも時々出てきます。時間がある時に覚えておきましょう。


完全系の音程(1度・4度・5度・8度)
完全1度
同じ音の2つの音程は完全1度
完全5度
ドとソの音程は完全5度、以下
レとラ、ミとシ…
(例外)
シとファの音程のみ減5度
完全4度
ドとファの音程は完全4度、以下
レとソ、ミとラ…
(例外)
ファとシの音程のみ増4度
完全8度
オクターブ離れた2つの音程は完全8度
長短系の音程(2度・3度・6度・7度)
長2度
ドとレの音程は長2度
白鍵と白鍵の間に黒鍵がある。
(半音2つ離れている)
長3度
ドとミ、ファとラ、ソとシの音程は長3度
2つの音の間には黒鍵が2つある。
(半音4つ離れている)
長6度
ドとラの音程は長6度、以下
レとシ、ソとミ…
(短3度で)
長6度は短3度の下の音をオクターブ上の音に
入れ替えたものに対応することが分かります。
長7度
ドとシ、ファとミの音程は長7度
(短2度で)
長7度は短2度の下の音をオクターブ上の音に
入れ替えたものに対応することが分かります。
短2度
ミとファ、シとドの音程は短2度
白鍵と白鍵の間は黒鍵がない。
(半音1つ離れている)
短3度
レとファ、ミとソ、ラとド、シとレの音程は短3度
2つの音の間には黒鍵が1つある。
(半音3つ離れている)
短6度
ミとド、ラとファ、シとソの音程は短6度
(長3度で)
短6度は長3度の下の音をオクターブ上の音に
入れ替えたものに対応することが分かります。
短7度
レとドの音程は短7度、以下
ミとレ、ソとファ…
(長2度で)
短7度は長2度の下の音をオクターブ上の音に
入れ替えたものに対応することが分かります。
音程の応用編(オクターブと中間の音との関係)

第3回 音階と調号
2018年(平成30年)3月28日
ハ長調の音階
音階の仕組み
シャープ系の音階
ト長調の音階
調合の付け方(#が増えていくと何調になるの?)
フラット系の音階
ヘ長調の音階
調合の付け方(♭が増えていくと何調になるの?)
1.ハ長調の音階
先ずはピアノのドの音から鍵盤の白いところ(白鍵)を順番に弾いてみましょう。
ドレミファソラシドと聞こえてきました。ドの音(和名でハ)から始まる音階をハ長調といいます。ハ長調はどんな仕組みで成り立っているのでしょうか。
音階の仕組み

上の図のように白鍵を左から順番に叩くと聞こえます。
白鍵と白鍵の間に黒鍵があるところは半音2つずつ(全音)上がっ
ていきます。ミとファ、シとドの間は黒鍵がないので半音だけ上が
ります。このように「全音・全音・半音・全音・全音・全音・半音」
の順番に上がっていくとハ長調の音階が成立します。
ピアノでのドレミファソラシドを覚えたところで、馴染みのある曲をピアノで弾いたり声に出して歌ってみたりしたくなります。するとハ長調の音階だけでは音の高さが合わなかったり、一部分の音が変なふうに聞こえたりします。
それはハ長調ではドの音に置く基準の音が「ド」(do・Cの音)であるからです。??何だか急にややこしくなりました??。(※)固定ドと移動ドについてはあとでコラムを作ります。少し慣れるまでは言われるままについてきて下さい。
2.ト長調の音階
それではハ長調より5度上の「ソ」の音を基準にした音階をいっしょに作っていきましょう。「ソラシドレミファソ」を「ドレミファソラシド」に聞こえるようにしていきます。下の図を見てください。

なんとなく「ドレミファソラシド」と聞こえてくるでしょう。(個人差があ
ります)少なくともドからラ(鍵盤のミの音)までは聞こえてきます。しか
し、ラからシに上がろうとそのまま白鍵(ファの音)を叩くと直ぐにシには
聞こえない違和感を覚えます。ここはラとシの間(鍵盤のミとファ)は半音し
かないからです。そこでラとシの間を全音で上がるために、ファの鍵盤を飛ば
して半音上のファ#を叩くことでシと聞こえるようになり、シからドへの移行も
半音の音程となり、ト長調の音階が成立します。
調合の付き方
楽譜をもらって初めて音取りをするときなど、一目見てこの曲の最初に#があるか、いくつ付いているかを見たりしますね。曲の始まりが移動ドで何の音か主音(ドの音)がどこかは#の位置で分かります(長調のとき)。
主音の場所:一番右の#の位置から2度上の音(シの音に#が付く)
また、#が1つ増えるとどこにその#がどこに付くかも決まっています。それは次の通りです(長調のとき)。
#の場所:前の#の位置から5度下の場所(五線よりはみ出たときは4度上の場所)
主音の場所:前の調の主音から5度下の音
五度圏表を使うとここまで説明した関係が一目で分かります。この表は後でいろいろなところで役に立つ表です。
3.へ長調の音階
今度はハ長調より5度下の「ファ」の音を基準にした音階を一緒に作っていきましょう。「ファソラシドレミファ」を「ドレミファソラシド」に聞こえるようにしていきます。
音階の仕組み

ところで音程が広がってファに聞こえません。ここはシの鍵盤より半音下の
黒鍵がファの音となります。ファとソの間の音程も全音に広がって「ドレミ
ファソラシド」らしく聞こえます。これがヘ長調の音階です。
調合の付き方
フラット系の調のとき、主音(ドの音)は♭から次の位置になります(長調のとき)。
主音の場所:一番右の♭の位置から5度下の音(ファの音に♭が付く)
♭が2個以上の時は右から2番目の♭の位置がドの音です。
また、♭が1つ増えるとどこにその♭がどこに付くかも決まっています。それは次の通りです(長調のとき)。
♭の場所:前の♭の位置から5度上の場所(五線より上にはみ出たときは4度下の場所)
主音の場所:前の調の主音から5度上の音
これも五度圏表を使うとここまで説明した関係が一目で分かります。この表は後でいろいろなところで役に立つ表です。
主音・属音・道音・下属音
音階の各音の名前
音階の各音の名前はローマ数字で表します。
1番目から順番に、Ⅰ Ⅱ Ⅲ Ⅳ Ⅴ Ⅵ Ⅶ で表して8番目は再びⅠに戻ります。
主音:音階の1番目の音 「Ⅰ」の音
属音:音階の5番目の音 「Ⅴ」の音
下属音:音階の4番目の音 「Ⅳ」の音
導音:音階の7番目の音 「Ⅶ」 主音に導かれる音
固定ド読みと移動ド読みについて
固定ドとは
ピアノや楽器はそれぞれ基準となる調が決まっています。曲がどんな調に代わっても鍵盤の位置や指使いが変わるわけではありません。それぞれの楽器において絶対に変わらない音階を固定ドと言います。
移動ドとは
ピアノや楽器を習う人は譜面の音と楽器から出る音が1:1に対応できています。これは固定ドで楽譜が読める人のメリットかと思います。
一方で#や♭がついた音など半音の違いが分かりにくかったり4度5度離れた音への跳躍が難しかったりします。そんなときに曲の主音を基準にしてⅠⅡⅢⅣⅤⅥⅦの音をそれぞれドレミファソラシドと読み替えた方が都合がいいことがあります。旋律の調ごとに階名の読み方を変換して読むことを移動ドで読むと言います。
平均律と純正律
音は音波というように波の性質を持っています。水面に広がる波紋(表面波)を目にしたり、時に大きな被害をもたらす地震も地中を波で伝わります。また、電線を通して家庭に送られてくる電気(交流電源)や光も波であらわされます。波のイメージは時間を軸にしてその垂直方向の振れの大きさ(振幅)と1秒間に振動する回数(周波数)で決まります。
私たちが耳にする音の高さは周波数によるものです。オーケストラや吹奏楽の演奏会では演奏の前に各楽器の音の高さを合わせるためにチューニングをするのを目にしますね。オーボエのAの音とヴァイオリンのAの音を合わせてから弦楽器の音合わせ、次に金管楽器を合わせてから指揮者が登場して演奏が始まります。基本のピッチはA=440Hz(442~446Hzにするのが主流のようです)ちなみに吹奏楽ではクラリネット(B♭管)やトランペット(B♭管)のドの指使いでB♭で合わせます。
1オクターブの音同士は周波数の比で1:2になります。音を重ねてみると波の山と谷で重なるところが多く互いによく合います。その間の音階の決め方によって平均律と純正律の2つの決め方があります。
平均律とは
1オクターブの間の12の音を均等に分けたもので前後の音は100セントずつの差があります。身近ではピアノの調律に使われています。
純正律とは
1オクターブの間の音が互いに簡単な整数倍になるように間の音を決めたのが純正律です。和音の響きの美しさを重視した音律で、オーケストラや吹奏楽、合唱に使われるものです。
長調の全音階は純正完全5度(3/2)と純正長3度(5/4)を用いて各音が決定されます。
Cを基準とした場合、Cの3度上がE、5度上がG、次にGの3度上がB、5度上がD、さらに、Cの5度下がF、Fの3度上がAとなり、これらを1オクターブの中に配列をすることでハ長調の全音階が得られる仕組みです。